ArchiCAD 17では、要素を入力する際の基準となる壁の「基準線」とスラブの「基準面」の設定に新しいオプションが追加されました。ここで紹介する新しい入力方法を使うことで、設計の各フェーズでより自然に、そして効率よくBIMモデルを作成することができます。
壁の基準線
壁の基準線の場合は、ArchiCAD 16までの「外側」、「中心」、「内側」に加えて、「躯体外側」、「躯体中心」、「躯体内側」の三つのオプションが追加されました。これらの新しい基準線設定は、壁の組み立て法が「複合構造」になっている場合に使用できます。
特に重要なのは「躯体中心」です。壁の基準線を「躯体中心」に設定することにより、設計中に仕上げの厚さが変更になっても、躯体の中心はずれることがないため、面積などへの影響を避けることができます。
スラブの基準面
スラブの場合は入力する際の基準になる面を「基準面」と呼びます。ArchiCAD 16までは基準面は必ずスラブの上端だったため、設定する必要はありませんでした。これに比べ、ArchiCAD 17からはスラブの基準面を「上端」、「下端」、「躯体上端」、「躯体下端」から選ぶことができるようになったため、スラブの設定画面に新しい部分が追加されました。(スラブの組み立て法が「基本」の場合は、「上端」、「下端」の二つのオプションに限られます。)
これらの基準面オプションにより、「躯体上端」に設定するとスラブをSLで入力することが可能になり、「下端」に設定すると天井の入力が簡単になるなどのメリットがあります。
では、これらの設定の使い方をシンプルなモデルを例に見ていきましょう。
設計の初期段階では、壁やスラブなどの躯体と仕上げを分けて表現する必要はありませんが、設計が進むなかでこれらの要素を複合構造に変えていく際に基準線と基準面の設定が重要になってきます。
壁を複合構造に変えるときに、躯体の両側の仕上げの厚さが異なる場合は、基準線が「中心」に設定されていると躯体の中心が芯からずれてしまいます。ここで基準線設定を「躯体中心」に変更することによって、躯体の中心を芯に戻すことができます。また、この後に仕上げの厚さが変更した場合も躯体の位置は変わらないので、設定を気にする必要がなくなります。
基準線が「躯体中心」になっていない壁があるかを簡単に確認したい場合は、「検索と選択」の以下の設定で検索すると便利です。
スラブの場合は、FLもしくはSL押さえにしたいかによって、基準面の「上端」もしくは「躯体上端」に設定します。
また、スラブツールを使って天井を入力する場合は、基準面を「下端」に設定すると、天井の高さを簡単に押さえることができるので便利です。
スラブの場合も壁と同様に、「検索と選択」の以下の設定で基準面の位置で検索をすることができます。